お子さまの歯並びやかみ合わせの乱れは、遺伝的要因だけでなく、**悪習癖(口腔悪習癖)**が大きく関与している場合があります。
特に乳歯列期から混合歯列期にかけての成長期では、日常的な癖が顎骨や歯列の発育に影響を及ぼし、不正咬合の原因となることが知られています。
本記事では、悪習癖をどのように見分けるのか、また歯科医院でどのような診査・診断が行われるのかについて、専門的な視点から詳しく解説します。
悪習癖(口腔悪習癖)とは
**悪習癖(口腔悪習癖)**とは、歯列や顎顔面の正常な成長発育を妨げる可能性のある、習慣的かつ反復的な行動を指します。
代表的な口腔悪習癖には以下があります。
- 指しゃぶり
- 低位舌
- 舌突出癖
- 口唇閉鎖不全
- 口呼吸
- 頬杖
- 爪咬み
これらは一時的な行動であれば問題にならない場合もありますが、長期間・高頻度で持続することで歯列や咬合に持続的な力が加わり、不正咬合を誘発します。
悪習癖と不正咬合の関係
乳歯列期における不正咬合の原因の約40%は、口腔習癖が関与していると報告されています。
悪習癖が関与する代表的な不正咬合には以下があります。
- 指しゃぶりによる開咬
- 低位舌による下顎前歯部離開
- 舌突出癖による前歯部歯軸傾斜
- 口唇閉鎖不全・口呼吸による上顎前突
重要なのは、悪習癖の「力の強さ」よりも、力が加わる時間と頻度が歯列に大きな影響を与える点です。
悪習癖を見分けるために重要な診査ポイント
① 口腔内診査だけでは不十分
悪習癖の診査では、歯列や咬合状態のみを確認するのではなく、以下を総合的に評価する必要があります。
- 顔貌(口唇の閉鎖状態、オトガイ部の緊張)
- 姿勢(頭位、体幹バランス)
- 口腔機能(舌機能、口唇閉鎖機能、嚥下機能)
これらを観察・記録し、診断につなげることが重要です。
② 顔貌診査による評価
診療室内で顔貌写真を撮影すると、普段は見逃されやすい特徴が明確になります。
- 安静時に口唇が自然に閉じられない
- オトガイ部に梅干し様の緊張が認められる
- 口角の下制
これらは口唇閉鎖不全や口呼吸を示唆する重要な所見です。
③ 低位舌・舌突出癖の診査
舌は歯列と顎骨の発育に大きく関与します。
- 安静時に舌が口蓋に接触していない
- 舌が常に下顎側に位置している
- 嚥下時に舌が前方へ突出する
このような場合、低位舌や舌突出癖が疑われ、開咬や不正咬合の原因となります。
悪習癖の診断で大切な考え方
歯科医師は「なぜその不正咬合が発現したのか」を考え、以下を評価します。
- 原因が外因性か内因性か
- 口腔機能の異常の有無
- 成長発育との関連
単に悪習癖をやめさせるのではなく、写真や記録を残し、経過観察を行いながら診断・指導を行うことが重要です。
まとめ|悪習癖は早期発見・早期対応が重要です
悪習癖(口腔悪習癖)は、早期に発見し適切な対応を行うことで、不正咬合の発現や重症化を防ぐことが可能です。
お子さまの歯並びやお口の癖が気になる場合は、早めに歯科医院へ相談することをおすすめします。






















